ラスク 岡田耕治
花衣傘を差さずに集いたる
苜蓿の中をまたたく瞳かな
家中を開き燕を迎えけり
遠くまで帰る刻来る花篝
花嵐身から鞄を放したる
しばらくの嵐を共に残る花
春愁を区切るラスクの音立てて
傾きを限界にしてチューリップ
しゃぼん玉膨らす前の気息かな
夜更けまで我に返れる沈丁花
流れきて春の落葉の流れゆく
木蓮の千切れずにある虚空かな
青空や蓮華の中に頭を置いて
打ち解けるため蒲公英を視ておりぬ
隠されたものの出てくる躑躅かな
*花森安治の絵葉書から。
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