2017年5月12日金曜日

春の雲欠食児童どう仰ぐ 大牧 広

春の雲欠食児童どう仰ぐ 大牧 広
「港」5月号。連休明けの授業で、「ゴールデンウィークにどんな楽しいことがあった?」と訊くのは、禁句にしようという話をしました。堺市で子どもの貧困についての調査が発表されましたが、調査世帯の平均年収の半分の117万円以下の世帯が、15.8%。1クラス38人とすると、6人がこの中に入ります。ゴールデンウィークに旅行に連れて行ってもらう子もあれば、ずっと家にいて、家族の喧嘩を見ながら過ごした子もいます。早く学校が始まって欲しいと思っていた子もいるでしょう。だから、連休明けは「プレゼント・ゲーム」をしようと、お互いにいいものを空想してプレゼントし合うゲームをたのしみました。
 私たち教員には、昨日晩ご飯を食べることのできなかった子が、この春の雲をどう見ているのだろうと思いを馳せる力がどうしても必要です。大牧広さんの近著『俳句・その地平』には、自宅近くの昼休みに同僚とレストランに出かける人もあれば、ベンチや柱の台石などで自宅から持ってきたおにぎりを一人で食べている人もいると描写。その上で、次のように結んでいます。〈できあがった「正規社員」よりも可能性が残されている「非正規社員」の方が青空を自由に仰ぐことができる。〉そうなんです。晩ご飯を食べることのできなかった子に思いを馳せて、しかもその子といっしょに春の雲をたのしむ力が必要なのです。大牧広さん、『俳句・その地平』の御出版、おめでとうございます。
*授業のあと、このように板書を撮影しておきます。プレゼントゲームは、右下の模造紙です。5月7日「ジェンダーとセクシュアリティ」の授業記録。

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