2017年5月3日水曜日

香天集 選後随想 岡田耕治

春炬燵二人になれば火を消して 谷川すみれ
 一人の時はスイッチを入れていた炬燵も、二人になると相手の体温だけでいいと思える、そんな暖かさの季節になりました。もちろん、スイッチを切ればまだ肌寒いのですが、その肌寒さがもう一人の体温をより強く感じ取ろうとさせてくれるのです。六林男師の「凶作の夜ふたりになればひとり匂う」という句を想い起しました。

一文字に遊びのありて冬あたたか 中嶋飛鳥

 一文字だけ遊び心たっぷりに躍動しているところでしょうか。俳句を書いた色紙の中に、一文字の遊びを認めたのでしょうか。何れにしても、その文字を描いた人の心の弾みが伝わってくる、そんな書との出会いを愉しんでいる飛鳥さんの笑顔が見えてくる一句です。
*上六句会場のホテルのピアノ。

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