香天集8月13日 岡田耕治選
中嶋 飛鳥
メロン甘し十一階の英國屋
サングラス今を忘れることとする
膨らんでくる蛇の眼の泪
歪みて写る玻璃窓の揚羽蝶
中村静子
ピアノのより生まれる音符薔薇匂う
音のない光沢走り大百足
緑蔭に憩い寂しさ深まれり
一つだけ膨らんでいる落し文
宮下揺子
立葵「生きる」と書きし一筆箋
星祭パイプの椅子を配列す
青空を歩いて戻る部屋の薄暑
熱帯夜阿部公房の闇にいる
岡田ヨシ子
伸びては摘むことの始まりモロヘイヤ
十人の家族の昔冷素麺
冷し茶や自動販売機を響き
墓洗う一軒一人朝六時
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