2017年8月30日水曜日

「一対一」17句 岡田耕治

一対一  岡田耕治

休暇果つチューインガムを膨らませ
練習が始まっている秋簾
掌に食い込んでくるいぼむしり
秋の海大きく脚を拡げ立つ
完璧な円に近づき秋の虹
長き夜を走って来たる対話かな
邯鄲の朝の声をかなしめり
どこにでも行ける子といて花野かな
轡虫寿命の話していたる
不機嫌なままに開かれ秋日傘
八月の肉声で説くことにする
会話から離れてよりの天の川
鞄から紙を減らして秋の朝
何回ももう一回と言う夜長
神経を澄ましていたる鶏頭花
秋の蝶吸いついたまま離れない

秋の蚊と一対一になっている
*大阪府柏原市にて。

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