2017年10月11日水曜日

泣き腫らす目蓋のやうに春の山 ふけとしこ

泣き腫らす目蓋のやうに春の山  ふけとしこ
 「香天」48号招待作品。春になって稜線が柔らかく感じられる頃、私たちは安易に「山笑う」などと使ってしまいます。しかし、作者は真逆に、「泣き腫らす目蓋のやうに」と形容しました。どうすれば、自らの表現を更新してゆけるのか、毎日考えている者にとっては、この書き方に勇気づけられます。こんな表現が生まれるのは、何度も泣き腫らした目蓋が、そこから姿を整えて万緑へと変化してゆく、その力を信じておられるからにちがいありません。


*徳島市にて。

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