露の原露の一つにわが目玉 高野ムツオ
「現代俳句」11月号・現代俳句協会創立70周年記念特大号。高野さんは、63頁の対談で、〈「現代の俳句を作って行こう」という協会の姿勢が魅力的でした。〉と語っています。「現代の俳句を作って行こう」このひと言が、高野さんの営みをよく表しています。特に東北大震災以後のムツオ俳句は、どの句にも覚醒のまなざしを感じます。晴れた日の夜、一面に露が降りている野原に立って、その一滴を見つめている作者の眼をまず想起します。さらに、この目玉そのものが、ここにある露の一粒なのだという、作者の思想へと導かれていく、そんな重層的な書き方です。鈴木六林男師は、当時の新興俳句が格好良かったと仰っていました。同じ意味で、70周年を記念する、格好いい一句です。
*岬町小島にて。
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