2017年11月26日日曜日

香天集11月26日 森谷一成、玉記玉、谷川すみれ他

香天集11月26日 岡田耕治 選

森谷一成
満月の海も御身も被曝せり
草一同に脱ぎすてんとす野分雲
秋蝶の通い路やがて大きな夜
大向うに美輪明宏の掌の枯葉

玉記玉
葉の色の人肌に似て神の留守
胡桃餅人のぬくもりとはこんな
石垣の 穴に見られて日向ぼこ
白雲を漕ぐ白鳥の痩せており

谷川すみれ
胸中の海原青き十二月
吐く息が汚さぬように冬の滝
ぼたん雪意外に小さき大仏の
日脚伸ぶ百年後の足元に

橋爪隆子
望の月背伸びして取るスープ皿
愚痴一つ入れて寄鍋濃ゆくする
木のベンチ木の実と共に坐りけり
いきなりの朝寒というプレゼント

古澤かおる
原木の二代目にして富有柿
散紅葉百三十畳の間を包み
石蕗の花昼の薬を飲み忘れ
流木と木札のあいだ枇杷の花

木村博昭
どこまでも草の穂白き夜明かな
枯葉鳴る一枚ずつに陽を載せて
濡れ落葉掃けど掃けども動かざる
裸木になりて遥かな湖面かな

安部礼子
雪は白い焔その奥に音がある
怪の国の頂上にある雪明り
雪の橋川だけが死に急いでる
石ころに揺るぎない影冬来る

坂原 梢
荷台からこぼさぬように甘藷
青空が雲をあそばせ松手入
閃閃と紅葉の映ゆるかんばせよ
また一つ明かりの増えて暮早し

永田 文
葛の葉をあらぶらせたる山の風
このさわぎ終章となる桜紅葉
黄金の端一枚のコスモス田
柿たわわ山の日ここに集まりぬ

安部礼子
面影を問はるる冬の潮騒
風紋は漁色のかたち冬の浜
冬銀河下土の運河を眠らせる
火を消して含み笑いの般若面



*岬町文化センターにて、識字学級の作品展示。

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