枯野 岡田耕治
一キロを七分で来て息白し
息白くスマートフォンに話し出す
冬空を歩くことまた走ること
大勢の俳句の中をブーツ鳴る
冬の雲ゆっくり話す人と居て
静かなる四回生の褞袍かな
マフラーや酒だけを買い戻り来る
手にしびれ残りて熊が穴に入る
ガソリンの色に時雨のはじまりぬ
時雨傘地下一階に長く居て
溶接の火の粉を浴びる時雨かな
ロングブーツ暗くなるのを待っている
吐く息の方を大事に冬の星
立っている姿勢の続く懐炉にて
冬鴉しばらく知恵を働かす
冬灯しだいに暗くなる故郷
半分は遊んでいたる枯野かな
*福島県只見町教育委員会の窓から。
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