2018年2月17日土曜日

もう歌はよせ滝壺の滝と壺 島田牙城

もう歌はよせ滝壺の滝と壺 島田牙城
「俳句あるふぁ」増刊号「水の俳句」。金時鐘さんと佐高信さんの対談集『「在日」を生きる』集英社新書を読みました。時鐘さんの肉声が聞こえてくるようでした。時鐘さんは、先日亡くなった石牟礼道子さんの『苦海浄土』を「100年たってもこんな本が現れるとは思えないようなすごい本です」と評した上で、「その著者が短歌を詠むと、なぜか情感的になる。やはり日本的抒情感から離れられない」と発言しています。掲句の「もう歌はよせ」という叫びは、おそらくこの時鐘さんの思いに通じるものではないでしょうか。滝壺に音を立てて飛び込む滝水を前にすると、情感的なるものとは隔絶されてしまいます。「もう歌はよせ」とは、この滝壺が作者に告げているにちがいありません。

*池田市の大阪教育大学学校危機メンタルサポートセンターにて。

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