香天集2月18日 岡田耕治 選
三好広一郎
ダウンコート家出する羽毛と少年と
童謡のぶつかっている灯油売
髪切って窓に二月の赤い耳
卵から産まれた木から春になる
石井 冴
左みて右みて毛もの奔りけり
葱の束近付いてくる人の名よ
悪人の眉とはなれず雪だるま
風や日や板に張りつく河豚のひれ
中嶋 飛鳥
薄氷ハガキ一葉書いて出す
首折れて佇つ水仙の善と悪
雪の果て歩かぬ犬を横抱きに
後輪の空回りして二月尽
砂山恵子
中指からそつと触れたる絵踏かな
叱られてまた喧嘩して豆の花
苗札や婚姻届書くごとく
西部劇終り霾る街にたつ
立花カズ子(2月)
アスパラガス竹串程の冬芽にて
下萌やグランドゴルフ弾けゆく
戸締りの星空深く冴え返る
鳥たちが零してゆけり実千両
木村博昭
十歳に十本の燭春立ちぬ
カーテンの裾に春暁来ておりぬ
万国旗はためいている菜の花忌
読み終えし栞のゆくえ春の雲
立花カズ子(1月)
冬の月しばらくは只立ちつくし
みどり児のほっぺぷっくり初笑
新聞を取り出すポスト初茜
境内へさそい入れたる梅の風
大阪府池田市内にて。
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