2018年5月21日月曜日

「夏兆す」10句  岡田耕治

夏兆す  岡田耕治

就職が決まるまで在るシクラメン
透明な檻すべりゆく黄砂かな
除幕する布が巻かれて風光る
チョーク持ちし指にくっ付く蓬餅
ユーカリを微かに揺らす春の雲
前髪と眉のあわいに夏兆す
更衣その日暮らしを続けたる
行きつけの店にあらわれ初鰹
永き日の大路に向かい泣き出しぬ
ビール飲む退職組の饒舌に


*泉佐野市内にて。

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