2018年5月6日日曜日

香天集5月6日 辻井こうめ、森谷一成、橋本惠美子ほか

香天集五月六日 岡田耕治 選

辻井こうめ
新樹光浴びるキリンのビルディング
横たはるラクダに名あり蝶の昼
少年の河馬のスケッチ風光る
藤垂るる象の博子の黒リボン

森谷一成
ゾウの客死その亡骸へ杉の花
コウモリのおしくらまんじゅう逆しまに
空遠く動物園の春埃
シロクマの地肌は黒くあり夏日

橋本惠美子
新聞を三角にして焼芋屋
若鷺釣る穴の形の青い空
天井をゆらりとよぎり春日陰
三歳にお当番ありチューリップ

釜田きよ子
花の昼開け放ちたる佛の間
陽炎を抜ける暖簾を押すように
新玉葱転がる自由得たりけり
病院に憩う場所無し青葉冷え

安部礼子
かげろひて羽音を立てぬ鳥になる
生くものに触るる魂かげろひぬ
キャラメルを包みし紙の目借時
人待ちて球根になる春の宵

西本君代
石鹸玉人ぎらいでも人と居て
段ボール箱を濡らして春の雨
苺摘み進む幼き尻丸し
闘病の教え子が逝く若葉かな

宮下揺子
木瓜の花胎内仏の赤い口
春の雨携帯電話捜す腰
カタカタとからくり人形春運ぶ
白蓮の下婆たちのハイタッチ

羽畑貫治
天を切り夏燕地を這い来たる
点滴や柏餅へと引き摺りて
脚浸し魚影を透かす鷺一羽

更衣息吹き返す妻のあり


*岬町小島にて。

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