香天集6月17日 岡田耕治 選
玉記 玉
くちばしで仰ぐ子燕空が欲しい
舷に大きなタイヤ五月尽く
アメンボの静かな座席みんな空
年輪に巻かれまいまいの宇宙
中嶋飛鳥
老鶯や指のささくれ舐めておく
麦の秋渾名を先に口にして
歪むときくちなわの背の幾何模様
梅雨鴉誰も降りない駅に待ち
砂山恵子
頬寄せて離れる男油照
ががんぼを仰臥で見をる一人かな
病室や箸あと残す冷奴
さよならを聞かず香水匂ふ部屋
村上青女
見初めしは離島の沖の積乱雲
十余年辺野古に通い月桃咲く
腕を組む人らの汗やゲート前
旅かばん並ぶ車内や麦の秋
永田 文
たたずめば森の香満ちて梅雨晴間
陀羅尼助水の奔れる風涼し
万緑や風を両手に深呼吸
夕顔の残り香沈む朝の風
岡田ヨシ子
玉葱の酢漬けをサンドイッチとす
小雨降る犬鳴山の新緑よ
紫陽花のブルーを選びピンク咲く
髪洗う白髪と皺の競い合い
*大阪教育大学柏原キャンパスから。
0 件のコメント:
コメントを投稿