2018年6月17日日曜日

香天集6月17日 玉記玉、中嶋飛鳥、砂山恵子ほか

香天集6月17日 岡田耕治 選

玉記 玉
くちばしで仰ぐ子燕空が欲しい
舷に大きなタイヤ五月尽く
アメンボの静かな座席みんな空
年輪に巻かれまいまいの宇宙

中嶋飛鳥
老鶯や指のささくれ舐めておく
麦の秋渾名を先に口にして
歪むときくちなわの背の幾何模様
梅雨鴉誰も降りない駅に待ち

砂山恵子
頬寄せて離れる男油照
ががんぼを仰臥で見をる一人かな
病室や箸あと残す冷奴

さよならを聞かず香水匂ふ部屋

村上青女
見初めしは離島の沖の積乱雲
十余年辺野古に通い月桃咲く
腕を組む人らの汗やゲート前
旅かばん並ぶ車内や麦の秋

永田 文
たたずめば森の香満ちて梅雨晴間
陀羅尼助水の奔れる風涼し
万緑や風を両手に深呼吸
夕顔の残り香沈む朝の風

岡田ヨシ子
玉葱の酢漬けをサンドイッチとす
小雨降る犬鳴山の新緑よ
紫陽花のブルーを選びピンク咲く
髪洗う白髪と皺の競い合い

*大阪教育大学柏原キャンパスから。

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