香天集7月29日 岡田耕治選
辻井こうめ
打水の水のかほりの記念館
天滝の天を突き裂く真白にて
集まりてビブリオバトル雲の峰
青き海に浮かべしトマト齧りけり
谷川すみれ
数数の石榴の空をミサイル飛ぶ
十月の家の境界消えやすし
橡の実と骸を箱に入れ帰る
中にいる烏の合図見逃すな
中濱信子
くっきりと我が影濃ゆき梅雨晴間
よく動く綾取りの指梅雨の明
擬宝珠や天気予報のよく当たり
ゆったりと植田は水を落ちつかす
前塚嘉一
複眼に見破られたり捕虫網
七月の火星を観よと誘われる
甘酒を咎めなく飲む真昼かな
七夕や一日だけの合唱団
安部礼子
日差しめく地図記号いま溽暑なる
無機質な道 朗らかな夏帽子
妄想の果てなき夏の終りけり
樹々どれもアシンメトリー風死せり
村上青女
夏の空全部吸われてみたくなり
目の前も右も左もあゝ青田
思い出ずちちははのこと籐枕
「つかれた」と壁の落書かたつむり
越智小泉
色を増す青田の揺らぎ飽きず見る
海開足裏の砂波が削ぐ
サングラス刑事二人が足早に
鉾見上ぐ国籍問わず浴衣着て
*昨日の上六句会場、ホテルアウィーナ大阪にて。
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