2018年7月25日水曜日

「昼寝覚」30句 岡田耕治

昼寝覚  岡田耕治

   「ちちんぷいぷい」に一句
友達のピンクのジャケツビール飲む
かき氷最も顔を近くして
途中から交換をしてかき氷
籠枕死ぬときまでは生きており
日盛るや小学校の鉄の門
合歓の花声の言葉を交わしけり
シャンプーもリンスも一緒洗い髪
冷房や真っ直ぐ上がる授業の手
さみだるるポケットにある通帳と
生きているものの大きく梅雨畳
真っ直ぐに立つこと難く滝の前
怒りから離れていたり百日紅
香水や時間どおりに訪ね来る
梅雨あがる写真の中の十五歳
一本の鉢の蓮に迎えらる
蝉しぐれ肩甲骨を近づけて
夏の川さかのぼり行く声と声
大花火最後を見ずに離れ来る
目の前を失っている旱星
いい顔になって近づく夏休
深深と触れてゆきたり夏の川
空蝉や息の静かな人と居て
私の身体を造り汗しとど
突然をまたたいている夏の蝶
近すぎて見えなくなりぬ虹の足
きっと蚊は握り拳の中にある
遠くから我を見ており昼寝覚
夏夕べ本の匂いを持ち帰る
ゆっくりと追い抜かれたる暑さかな
地上へと出て夕焼の中に居る
酒よりも読書を選び熱帯夜


*池田市の教職員と俳句づくりワークショップを行いました。池田市といえば、宇多喜代子さんがお住まいです。宇多さんの「コカコーラ持つて幽霊見物に」を紹介して、俳句を作っていただきました。写真は、高点句です。

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