2018年9月25日火曜日

クッキーの缶の針箱小鳥くる 中野千秋


クッキーの缶の針箱小鳥くる 中野千秋
 俳句大学。市販の裁縫箱ではなく、必要な裁縫用具を入れた缶の箱には、クッキーが入っていました。もう裁縫用具を入れて何年にもなりますので、クッキーの匂いはしないはずなのですが、こうして開ける度に微かに匂うような気がします。大切な人からもらったクッキー、お気に入りのクッキー。時が流れるほどに人の心は変化していきますが、この缶の包みを開き、少しずつクッキーを味わっていった頃の時間は止まったままです。「小鳥くる」さわやかな季節もまた、この箱を開くときのように私を力づけてくれるようです。
*秋田県立金足農業高校にて。

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