香天集11月25日 岡田耕治 選
石井 冴
マシュマロの断面子の手あたたかし
日を浴びてあり金銀の木の葉髪
一人の枯れをほじくる鴉かな
血の巡りよくなるという竜の玉
橋本惠美子
イカリガタガニマタで去る鍬形虫
二センチを上げてサドルの涼新た
台風にバッテンをつけ窓硝子
満月や電波時計の回り始め
辻井こうめ
冬うららびゅんびゅん独楽のびゅんの音
栗剝を終はるこのコツ掴む頃
送風機肩に掛ければ銀杏散る
山茶花や音信絶ゆる人のこと
橋爪隆子
秋の空欠伸の最後ふしつけて
葉の青を知らずに咲いて曼珠沙華
蹴散らかす銀杏落葉のそこここに
割ってある焼芋届く絵手紙よ
古澤かおる
陶工の総じて細身草の花
小春日の猫の真ん丸陶の郷
堂々と年寄る里の実南天
地球儀の色褪せてゆく初時雨
木村博昭
冬に入るくもり硝子に影生まれ
暮早し家に近づく渋滞に
裸婦像の臀のふくらみ神の留守
物故者の増えたる名簿実南天
*大阪市内にて。
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