大きな寺 岡田耕治
冬の山暗いうちから走りけり
我が顔の近づいてくる根深汁
一人ずつ責任を取る囲炉裏かな
湯豆腐がなかなか来ない男たち
いくつかの締切渡り冬銀河
あとうんの間よ冬の仁王像
噴く水に打たれていたり冬の鯉
竜の玉掴んで離さないでいる
横顔の眠らんとする冬日向
朴落葉大きな寺に長く居て
やわらかき金つば届き雪催
親族が来る直前の障子かな
冬帽子目深にかぶり正対す
マスクして濡らしていたる眼差よ
講堂のドアが冬日を開きけり
文庫本専門店の冬ぬくし
*大阪府泉南市にて。
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