香天集12月23日 岡田耕治 選
中嶋飛鳥
手袋を失くせしところ鴉来る
冬りんご齧りて後を有耶無耶に
散紅葉掃くな掃くなと考(ちち)の声
鉛筆の素描に確と冬の声
橋爪隆子
コーヒーや冷たきミルク広がりて
いつきても同じ顔ぶれ温め酒
禅寺や紅葉散りゆく音といて
鯛焼の冷めて重さの加わりぬ
中嶋紀代子
日向ぼこするひよどりと眼を合わせ
冬林檎鳥たちのため枝に刺す
山茶花や散りたる後も地に咲きて
実南天祖母と子どものキャッチボール
木村博昭
冬霧や何か出来する予感
ユニセフが呼びかけている一茶の忌
石蕗咲いてことし鬼籍の誰彼よ
泣きじゃくるほかに術なし大枯野
*大阪教育大学柏原キャンパスにて。
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