玉記玉
裸木にうすむらさきのアダムとイヴ
枯野 こんなにもスクランブルエッグ
鷹のスローモーション私放心
黒猫の爪うつくしきクリスマス
渡邉美保
煩雑な手続きのあり冬木立
雑念を払ふため行く大枯野
マスクして目で逆らつてゐる少女
鉛筆の国からきたの雪蛍
中村静子
団欒の真ん中を占め牡丹鍋
メロンパン羽毛布団が陽を吸いて
読み返す本に残りて木の葉髪
裸木に表と裏のありにけり
釜田きよ子
大声でハレルヤ歌うポインセチア
葉牡丹の小さな渦を三つ買う
裸木や骨密度ならたっぷりある
珈琲は苦くて旨し冬木の芽
宮下揺子
烏瓜嘘を重ねて生きてきた
「考える人」の背中に冬日射す
ナビに無い道を走りてクリスマス
悼むとは思い続けること冬芽
羽畑貫治
妻の里に暮らしていたり冬の虹
太る根が鉢を食み出て日脚伸ぶ
左右から落ち合う川や波の花
平成の次に身構え冬の月
岡田ヨシ子
シャワーにて湯の中の柚子踊らせる
メモをしたことを忘れて大晦日
初日記五年日記をもう五年
日向ぼこシルバーカーの集まりて
*京都にて。
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