2019年1月5日土曜日

海鳴りや布団の中にある昔 渡邉美保

海鳴りや布団の中にある昔 渡邉美保
 句集『櫛買ひに』俳句アトラス。今日一日を許される場所、それが布団であるなら、この人生を許される場所も布団なのかも知れない。布団の中には無為があり、さまよいがあり、はるかな記憶がある。布団の中に入っても、入らなくともそれを視ているだけでも、そこに「昔」を感受することができる。「昔」は、不確かになり、消えかかろうとするけれども、「海鳴り」がそれを練り直してくれるようだ。渡邉美保さんの第一句集を、この年始からさわやかに繙いている。第一句集に序文はつきものだが、ふけとしこさんの序文は、渡邉美保という作家をこの世に送り出そうとする温かみと確かさに満ちている。改めて、序文というものの良さを感じ、自然に渡邉美保の世界に入ってゆける。この序文があったからこそ美保さんの「海鳴り」を感じることができた。
*渡邉美保句集『櫛買ひに』の序文を担当。

0 件のコメント:

コメントを投稿