2019年2月3日日曜日

香天集2月3日 玉記玉、渡邉美保、森谷一成、柴田亨ほか

香天集2月3日 岡田耕治選

玉記玉
接点甘く掌と六花
山茶花から鶏の声行き詰まる
オキザリスまだ硬しカタカナ軽し
寒烏竹の切り口から真昼

渡邉美保
寒月光貝は素早く水を吐き
倒木の根こそぎの穴風花す
電話するときの大声日脚伸ぶ
大寒の末期の水となりにけり

森谷一成
制空の声ほこりかに凧
冬晴れを微分している観覧車
まびさしに寝ぼけ眼のマスクかな
竜宮のあぶくのごとく梅の花

柴田亨
踏まれいる邪鬼もろともに仏なり
母といた記憶はなくて寒雀
邂逅は刻まれし文字初時雨
霙降る正しきことのはざまにて

浅海紀代子
行く年の盗人萩に好かれけり
煤払い私の肺を新たにす
空という空を雲ゆく初茜
初明り六林男句集がここに待つ

宮下揺子
父の忌の冬のトマトを焼いており
冬日和川原の石に顔を描き
裸木の水吸い上げる音確と
ストーブがひとりの闇を深くする

釜田きよ子
霜柱日本昔ばなしかな
寒卵少しおどけてみたくなり
冬木の芽言葉育てておりにけり
ゆったりと毛布の海に沈みゆく

北川柊斗
ビー玉を透かす冬日の静けさよ
去年今年エンドロールの音消えて
福笹の屋台の軒をふれ行けり
寒夕焼こっぽりのゆく石畳

中濱信子
日光の直線にあり鏡餅
禿頭のあと白髪の初鏡
落椿約束のごと並びけり
寒桜花びらごとに日の差して

羽畑貫治
冬の暮ペダルを漕いで風となり
寒蜆流星群の渡りたる
鶺鴒の尾を振る走り厄払い
ピン球を弾ますラリー暖かし
*大阪教育大学柏原キャンパスにて。

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