大枯野 岡田耕治
鍋焼へ眼鏡を外し幼くなる
爪先を弾ませている日向ぼこ
てっちりや鍋将軍が名乗り出て
革手袋すぐに記憶の蘇り
寒造栓を開けば気の通い
マスク取る前に笑顔を作りけり
寒紅に時のかからぬ若さにて
一時間ごとに出てゆく冬日向
課長のあと部長が急ぐ大枯野
牡丹鍋だけを目当てに集いけり
現金を使わなくなるマスクかな
冬苺大福餅が包みたる
行きつけの書店を無くす時雨かな
愛想のなくて何時もの燗の酒
ここに居るだけでいいよと日脚伸ぶ
*大阪教育大学柏原キャンパスにて。
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