呉線 岡田耕治
黄梅や話しつづける友といて
春の土老いし力を加えたる
黒板の時計を遠くして春眠
手をほぐし紙風船を受け止める
柔らかくくずれていたり蕗の薹
一杯ずつ店を移りて春の月
青ぬたや一人切り盛りする店の
モーツァルトだけのラジオの朝寝かな
呉八句
呉線が象ってゆく春の海
缶珈琲立てて車窓の春景色
春の海大きな旗を伸ばしけり
春日向砲身として取り出され
広島の鉄板に鳴り春の水
気配さえ残らぬ春の暁よ
ステンレスたっぷりレタス掴みたる
終点に向っていたる春日かな
*広島県呉市にて。
0 件のコメント:
コメントを投稿