香天集9月15日 岡田耕治 選
澤本祐子(八月)
テーブルの切り子のグラス冷し酒
切り分けてまだ濡れている西瓜かな
墨かすれ土用うなぎの太き文字
老人を捜す放送梅雨の明け
神谷曜子
櫟の実博物館のジオラマに
蝸牛子との境界さまよいぬ
草原になりし晩夏の我が家かな
閉店の書店をのぞき帰省の子
澤本祐子(六月)
葱坊主つんつん伸びて一列に
ひとまわりカーテン揺らし風薫る
薔薇園うれしき事のよみがえり
緋目高のこぼれんばかり鉢に雨
澤本祐子(七月)
再会の残りの時間ソーダ水
さよならに順序のなくて百日紅
唇や水蜜桃に奪わるる
座禅組む大本堂の青葉風
*茨城大学水戸キャンパスにて。
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