秋暑し 岡田耕治
秋暑しここからあなたまでの距離
花野径別別に来て共に去る
生きながら喰われていたる蟷螂よ
体調が戻りし友の桃白し
音立てて沈みゆきたる秋の雨
朽ちてゆく木の階の茸かな
栗の飯一杯だけにしておけと
買い物のはじめ林檎の香を過り
学生の暮らしを抜けて土瓶蒸
まだ誰も食べたことなき鰍かな
離れずに離れられずに飛ぶ蜻蛉
太刀魚としばらく横になっており
二周目に入っていたる蜩よ
青空の大きく水の澄みゆけり
一筋の抜けそうにない秋思かな
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