香天集9月8日 岡田耕治 選
渡邉美保
空蟬に眼の履歴ありにけり
天牛の給水塔まで行くつもり
コンテナの列を目で追ひ夜の秋
山の日やピザ窯作るチーム組み
三好つや子
夏の月標本箱のマンションに
星涼し絵本にもどる消防車
龍口(たつのくち)に微光をあつめ秋の水
二百十日の音吹きだまる荒物屋
橋爪隆子
熟れてゆく熟れ過ぎてゆく桃の夜
信号の一分半の秋暑し
睡蓮の水の余白に雲流る
鉢植の思う存分アマリリス
宮下揺子
八月一五日水木しげるの名刺から
蓮の花カメラを向ける車椅子
会う度に最後と思い蓼の花
行間に雑木山あり大西日
岡田ヨシ子
草を刈る歳を忘れていくように
命より大きなものを蟻が曳く
秋に入る避難袋の常備薬
半分はお隣さんへ南瓜煮る
*大阪教育大学柏原キャンパスにて。
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