2020年7月26日日曜日

香天集7月19日 加地弘子、宮下揺子、神谷曜子ほか

香天集7月19日 岡田耕治 選

加地弘子
終わりまで変わらず進み蝸牛
入り海の一人ひとりの大西日
捩れ花釦の重さ変えており
蛇を見て帰りの道を遠くする

宮下揺子
麦秋の大きなうねりコロナの輪
半夏生母の形見に袖通す
鈍感を武器のひとつに心太
茅の輪くぐり不得手なことをやり通す

神谷曜子
この町を出たいと夏至の川急ぐ
薔薇園の坂ほつほつと自分踏む
字余りは気にならないと蝸牛
いさかいの原因とする木葉木菟

永田 文
薔薇なでて甘き香りの届きけり
朝焼や耳朶に声やわらかく
葱坊主触れる尻から爆ぜゆけり
借景の鎮守の楠や夏の昼
 
中辻武男
風蘭の香りに和む余生かな
息を吐き待ちわびており白南風
初蝉の声を掻き消し俄雨
夏祭布団太鼓の音も立てず
*大阪教育大学柏原キャンパスにて。

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