2020年7月26日日曜日

「金魚玉」12句 岡田耕治

金魚玉  岡田耕治

爪先の三角点へ梅雨の傘
香水やここには居ないことにして
直ぐに往き乱れて復る五月闇
白い土嚢黒い土嚢の梅雨長し
梅雨出水なかを急げる水のあり
蝸牛言葉の息を長くして
限界を見極めている蚊遣香
黴の花老齢にしてよく喋り
対面になってはならぬ金魚玉
乗降の風抜けてゆく植田かな
太陽を浴び汗をかくだけのこと
鼻先を出してマスクの梅雨上がる

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