香天集8月16日 岡田耕治 選
加地弘子
赤煉瓦飛び越えてくる茗荷の子
花木槿今日赤くなる棒グラフ
噴水に子供のいない休みの日
蜘蛛の囲の獲物が飛ばす飛沫かな
宮下揺子
シーグラス探してあれば梅雨上がる
窓越しの予定どおりに合歓の咲き
いちじんの風の重さよ未草
コロナ禍を素顔で通す夏マスク
北村和美
顔いっぱい水蜜桃の甘さかな
ポケットに石ころ増やしきりぎりす
歪むまま育つ西瓜よ二分割
天の川モノクロームに色を点け
正木かおる
少年よ笑ってほしい夏来たる
コロナ禍にまみれて八月十五日
木もれ陽の琥珀となりて蝉時雨
人と風ホテイアオイの沼で待つ
神谷曜子
白木槿迷いの中で娘と会いぬ
暑気払いまず検温を通過して
羅や自己判断の雨の中
幽霊の日の生ぬるき水を飲む
古澤かおる
しま蛇がドライバーセットの上を行く
もみの木はくま蝉の木となりいたる
盆用意洗えば縮む布のあり
こんにゃくを炊けど聞こえぬ祭笛
永田 文
一気に海へ千枚の青田風
村の子の網持ちて来る滝しぶき
いたずらな風が雲呼ぶ夕立かな
夕に鳴くかなかなかなと呼びあいて
中辻武男
頬笑みを招いていたり夏海老根
仏壇へ大きな西瓜供えけり
項垂れ草木が焦る夕立よ
盆踊り中止が決まり娘らの頬
*泉佐野市にて
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