2020年10月10日土曜日

「始まり」12句 岡田耕治

始まり  岡田耕治

対面になってレモンを絞りけり
歩いたり走ったりする芒かな
秋時雨高校生が濡れて来る
立ったまま眠っていたり彼岸花
途中から犬抱いて行く秋夕焼
月の顔手に取るほどに残りけり
柿を干す遺影と同じ高さにて
話すこと少なくなりし刈田かな
学校のことには触れず吾亦紅
台風裡一人ずつ名を呼んでゆく
弁当の中を濡れたる栗の飯
始まりを見廻している花野かな

 

0 件のコメント:

コメントを投稿