2021年6月13日日曜日

香天集6月13日 玉記玉、柴田亨、三好つや子ほか

香天集6月13日 岡田耕治 選

玉記玉
奔放な髪が疲れるみどりの夜
リフレッシュ休暇トマト三個分
枕から昼の鳴き砂夏惜しむ
時映す鏡に蛇を祀りおり

柴田亨
夏の光脱いで寄り添う百済仏
縦横に世の果てからのつばくらめ
西日満ち東天淡く染まりけり
囀りの止んで群青拡がりぬ

三好つや子
新樹光鳥のことばを訳す子よ
脳すこし浮いてる八十八夜かな
木耳に誘われている暇はざま
走り梅雨からだにふっと火打石

中嶋飛鳥
サングラス火種の一つ明らかに
虹の脚げんこつ合わせ乞う暇
たまゆらのカミングアウト緑の夜
青水無月くすり指より疲れ来る

小﨑ひろ子
紫陽花の蕾どこまでも緑
風入れてシャツのふくらむ夏の前
喜びて視る木の花の名を知らず
鴨集う豪雨のあとに中洲あり

櫻淵陽子
検温器反応しない夏夕べ
西日中相槌を打つ君のゐて
顔晒すキャンプファイヤー流れ星
山小屋の壊れたままの扇風機

岡田ヨシ子
蓮華草小学校まで歩きゆく
夏来る卒寿の日々の早さにも
浮かびくる麦藁帽の人の名前
薄ピンク西瓜を食べしマスク染め
*大阪教育大学柏原キャンパスにて。

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