2021年6月14日月曜日

耕治俳句鑑賞 仲寒蝉、桑本栄太郎、野島正則

体温を測るひととき百合匂う  耕治

仲 寒蝉
 いま体温を測るというのは緊張する瞬間かもしれませんが、コロナを離れれば意外とくつろいだ時間かもしれません。この主人公も百合の香りに注意が行くくらいの余裕はあるということでしょう。

桑本 栄太郎
 大学での講義にため人前で話す事も多く、毎日体温を測って万全を期されているのですね?朝のひと時、体温を測る間も、飾られた百合の花が香しい芳香を放っています。

野島 正則
 最近では、多くの企業の受付に、顔を枠に合わせて、瞬時に体温、マスクをしているのかまで表示する、鏡のような機械が置かれています。この句では、そのような瞬時に体温を測定できるのではなく、昔ながらの脇の下に挟んでちょと時間をおき、ピピッとなるまで待つ。このちょと待つ時間がひとときの措辞なのでしょうね。百合もきつい匂いを放っているのではなく、花も目覚めたばかり、すがすがしく香り、仄かに漂う、上品な香りであったのでしょうね。



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