新樹光胸を濡らして水を飲む 耕治
野島正則
みずみずしい新樹から零れる光。この胸を濡らしているのは、今飲んでいる水ではなく、新樹から漲る生命力であり、弾けんばかりの若さでもあるように感じました。
夏草のまず抜かれたる不在かな 耕治
十河 智
訪ねていったのに、でかけて留守。親しいお友達でしょうか。庭の手入れも良くする方のよう。梅雨時に、まず草は抜いてあると庭を見ている。少し待ってみようか、思案中なのでしょうか。
老いてゆくことの涼しき体かな 耕治
大津留 直
この句のポイントは、「体」。自分は老いを受け入れがたく思って悩んだりしていても、体は老いに徐々に慣れてきて、けっこう涼しげに受け入れてしまっている。そんなことは、誰にでも起こっていることなのだが、いざ句に詠うとなると、長年の修練が必要。素晴らしい句です。
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