2021年7月8日木曜日

荷車の復りを弾み芥子の花  耕治

 
十河 智
 祖父母の家は、少し田舎で、米屋と本屋を営んでいて、人が引くような荷車も使っていたような記憶があります。本屋では、かなり小さい頃から、手伝っていました。往復の復の方が、仕入れの帰りで荷があることもありましたが、道路が舗装されていない時代のことです。往きと復りでは、弾み方が違うのです。荷があるときは重く安定、ないときは子供くらい乗っても軽く、道路の凸凹が、体に響きます。よく載せてもらっていたので、体感があり、今も覚えています。
 芥子は種が飛んで今でもそのへんに咲いていますが、風に揺れて、弾む体と共振してくれているような季語ですね。季語の置き方がとてもいいなと感じます。私はよく季語が効いてないと言われます。こういうことなのだなと、いい句に出会うと、わかるのですが。

0 件のコメント:

コメントを投稿