香天集8月15日 岡田耕治 選
石井 冴
雲下りてひとり遊びの源五郎
明暗のどちらも愉快蝉の穴
揚羽蝶押入れを空っぽにする
校長と居残っている羽抜鶏
三好広一郎
臍の緒を置き去りにして蝉時雨
ソーダ水プラネタリウムの残像か
ラムネ振るキャッチャーフライの泡の形
田水沸く関係者のみ無観客
神谷曜子
鶴を折るこの指太し終戦日
夏シャツに残りし昨日手洗いす
雨上がる水の匂の花ふくべ
夏の雲悪だくみして立ち上がる
垣内孝雄
落蝉のしまし動きぬ足三つ
額に入る虚子の短冊秋入日
さも翔びたたん八月の千羽鶴
つきだしの枝豆にじむ塩加減
光太郎
脚本は誰が書いたの走馬燈
「運命」の八月に入るオーケストラ
夏痩を知らぬ女将の笑顔かな
井戸水をたっぷりかけて洗い飯
岡田ヨシ子
トマトから炒め新調フライパン
長寿へと秋の弁当届きけり
書き留める前に消えゆく鰻丼
三人の曽孫を待ちて盆用意
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