2021年8月28日土曜日

虫の声ここから海の澄みゆけり  耕治

 
大関博美
 草やかや藪の茂る山道を虫の声を聞きながら、小一時間ほど歩くと、眺望の開けた草地が広がる。その向こうは海だ。今日の海は穏やかに澄んでいる。
 平和ということのひとつは、このような美しい自然を享受することに、あるのでは無いかと思う。私は与謝野晶子ファミリーが夏に逗留したという、千葉県勝浦市の理想郷から、太平洋の眺望を想像している。

仲 寒蝉
 海に近い集落の虫の声ですね。海を汚すのは人間、澄ませるのは虫の声。

大津留 直
 「海の澄みゆけり」に私は、現在の混乱・逼迫した状況に対する祈りの声を聴きます。コロナをめぐる状況にしても、アフガニスタンをめぐる状況にしても、本当に心が痛むことばかりですが、その中にあって、「ここから海の澄みゆけり」と詠う俳人の覚悟を感じ取ります。その海辺にすだく虫の声になりきる覚悟。私も同じ思いです。

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