2021年9月1日水曜日

月光を忍ばせている涙かな  耕治

 
十河 智
 切ないです。今だと、世の色々な出来事にも溢れんばかりの感情が込み上げてきて、ふと見上げた月の光の包み込むように身に染み込んでいく。たまった涙が明るく輝き、月光を忍ばせていることが見える。切ないけれど、元気にもなれた。

大津留 直
 おそらく、この涙は、恋人か妻の涙だと思う。作者は、その涙がなぜこのように美しいのかと思う。それは、その涙が月光を忍ばせているからなのだと思い、この句になったのだろう。おそらく、それは、一緒に月を見ていた時のことだったのかもしれない。しかし、そうではないのかもしれない。その時の何気ない会話が聞こえて来るようだ。というのは、「忍ばす」には、隠し持っている、という意味があるからである。

仲 寒蝉
 月の光が涙に射しているということをかくも美しく表現されました。

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