2021年9月7日火曜日

空白を破る大きな花火待つ  耕治

 
野島 正則
 花火大会では、花火が次々と休み無く上がったかと思うと、しばらく間が空くことがある。こうした時は、三尺玉のように、大きな花火が上がるとき。花火を待つ間の闇、静寂。期待と緊張の一瞬でしょうね。

大津留 直
 日本文化において、「間」や「余白」「余韻」が決定的な要素であることを改めて考えさせられる御句です。俳句・短歌においても、そのことをもう一度、考えてみたいと思います。この句において、決定的なのは、何と言っても「破る」という措辞であり、それが、それまでの静寂と闇を、そこに上がった大きな花火の見事さと同時に、読者に感じさせてくれているのだと思います。

十河 智
 大仕掛けの花火、今はコンピュータ制御、とはいえ、火が付き打ち上がるまでの間は必ずあるものです。打ち上がってゆく細い軌跡、それもここで言う、空白、なのでしょう。みんな知っています。大音響がこの空白を破り、人も花火に一つ遅れて「うわあ~」と歓声。あの瞬間がいいですよね。

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