香天集5月15日 岡田耕治 選
柴田亨
詩集売る少女の眉よ春の雨
げんげ田に続く首塚光帯び
水のごと再会のあり桜散る
石楠花にそれぞれの蜜少女らよ
春田真理子
牡丹の崩るまで居ることにする
祠堂から笙の鳴り出す燕子花
燕子花生けて寡黙となりにけり
筍を携え僧侶現われる
牧内登志雄
麦の秋三線の音のかるくなり
衣更ふ少女眞白き十五歳
竹婦人けふは背を抱く夜半の雨
初蝉や電柱青く立ちつくす
小島守
夏に入る不登校児の灯かな
白玉を吸う胸元の見えるほど
瀑布からまだ戻らない女たち
口論のはじめ梅干置かれけり
大西英雄
夏来る二人で歩く九十九洋
花あやめうち分け波の土佐路かな
巡礼はインターバルと柏餅
赴任地を再び訪ね花の城
*岬町にて。
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