香天集1月22日 岡田耕治 選
久堀博美
年の夜の赤き錠剤転びけり
優しさの真ん中にある芋頭
天泣の空にひろがり寒桜
北風の頑張らなくていいところ
石井 冴
ゴム長の後から後から雪が降り
ここからは関守石よ風花す
寒波くる思い思いのパーカッション
まだ何も飾っていない鏡餅
中嶋飛鳥
皇帝を名告る漢よ木枯しよ
隙間風出さぬ手紙に切手貼る
横の一事無きを知る年の暮
四囲の眼を遠く三年日記買う
加地弘子
生ける間を半分散って冬桜
亥の子槌ぺったんぺったん祝いましょ
正月や目白に餌付けする人と
寒林の足音吾に追いつきぬ
木村博昭
母逝きて雪つもる夜となりにけり
家事という終りなきもの掃き納む
ミサイルの発地と着地去年今年
片道は歩くと決めて初詣
釜田きよ子
真ん中に太陽を置く初暦
鏡餅赤子よく泣きよく笑う
閉まる時少し鳴くドア冬の月
冬帽子暗証番号すぐ忘れ
小島 守
バスを待つときが最も空寒し
栄養を管理されたる人参よ
善哉や味覚の戻らない人の
署名する文字を覗かる寒さかな
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