2023年1月15日日曜日

香天集1月15日 玉記玉、三好広一郎、渡邉美保、柴田亨ほか

香天集1月15日 岡田耕治 選

玉記玉
梟の闇よ目眩く絵巻
露出度はポインセチアに聞いてみよ
我が影を裏切っている半仙戯
恋猫のだんだん液化してきたり

三好広一郎
初鏡これは去年の顔のまま
ここが空のきっと階段凧のぼる
こどものころ褒められすぎて煮凝りに
白シーツ四隅を掴み初御空

渡邉美保
鳥瞰図見てゐて鳥になる五日
花びら餅のうすももいろの禍根かな
少彦名命にもらふ龍の玉
風花やポスト帰りの手ぶらの手

柴田亨
遠き日の歪みそのまま年酒汲む
緊張は冷たきタクト一点に
梟の夢深深と風の止む
凍星の奏でるままに街灯り

春田真理子
白萩を揺らせば生家蘇る
鈴蘭の実に一つずつの鬱
黄落の大樹よ黄泉の見え始め
薄墨に柊こぼすあねいもと

河野宗子
薔薇の芽や柔らかき棘持ちはじめ
この曲を聞いているらし夏燕
人が来て時早くなる秋の暮
指先のしなやかなひと若葉風

岡田ヨシ子
幸と書くデイサービスの書初に
初笑い育つ曾孫と肉を焼き
恵方道姿なき人いかがなる
長く生き七草粥の香り受く

玉置裕俊
長湯して来し方思う冬至かな
鍋囲む人のなくなり除夜の鐘
亡き父の褞袍を羽織る胡坐かな
*岬町小島にて。

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