香天集2月26日 岡田耕治 選
中嶋飛鳥
春萌す眼差し直ぐな土人形
眼鼻散らばりきさらぎの泣く女
春の雪返事を待たず傘開く
中腰の一掬い足す春の土
玉記玉
十二月八日ピザ遠くからやってくる
難解なつらつら椿から論破
声明を断ち割る雪のしずりけり
バイエルは直線残雪は曲線
河野宗子
指先の血豆の赤に雪降り来
ゆでたての卵をにぎる寒夜かな
雪解やコンクリートをたたく音
春の山未知を登ってみたくなる
田中仁美
これは私へバレンタインのチョコレート
店長の大声一つ桜餅
春スキーリフトを降りて転がりぬ
絵の具溶き色を重ねる春景色
岡田ヨシ子
春きざす曾孫五人の男の子
本畳むきっかけとする猫の恋
一番刈り若布の芯を煮るとする
うぐいすや畑のあとの竹林に
*岬町小島にて。
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