香天集3月12日 岡田耕治 選
釜田きよ子
最後には無色となりぬ流し雛
何処迄危険水域浮寝鳥
猫柳川は光を生むところ
のどけしや定位置に物置かぬ癖
三好つや子
紅梅をやきもきさせる男の子
春が来るチャーハンという即興詩
風光るヒエログリフの刺繍かな
三月の声のちらばる袋菓子
楽沙千子
語り継ぐことの増えたり実万両
潜り戸を開けていたりし寒見舞
外出を控えていたり枇杷の花
寒明ける万年筆の走り書
春田真理子
立山の白に青沿い初電車
若水の柄杓を託す人のあり
水仙の水を澄ませてりん鳴らす
約束の四月を前に医院閉づ
宮崎ちづ子
冬灯追憶のジャズ響きたる
日向ぼこ猫の親子が夢の中
うたた寝に添い寝の猫の重さかな
千切れ飛びまた寄り合うて波の花
上田真美
パンジーが添えられてありパンケーキ
桜餅思い出したる巣立ちし子
梅の花きらりスポットライトかな
草餅やたたかう生の気高さよ
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