鬼哭とは人が泣くこと夜の梅 高野ムツオ
『小熊座の俳句 三十周年記念合同句集』。今朝の「折々のことば」で鷲田清一さんは、言葉は「世界のオブラートを剥がし、凝固した世界を溶かし編みなおすため、世界を別な仕方で切り開くためにある」と。合同句集の冒頭にある高野さんの「岳樺」は、まさにこの言葉どおりの二十句だと感じます。東北大震災を視つめることによって、世界を切り開こうとする一巻の重みを味わいたいと思います。鬼哭とは、浮かばれない亡霊が泣くこととありますが、亡霊などではなく今ここにある人が泣き出している、そんな夜が続いているのだと、一句は静かに語っています。
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