2016年2月26日金曜日

半分に割り焼藷の湯気ふたつ 金子 敦

半分に割り焼藷の湯気ふたつ 金子 敦
「出航」60号。焼藷を半分に割ることが、こんなにも豊かな気持ちにさせてくれるんだということを、改めて教わったように感じます。「半分に割り」という行為があって、次に割った焼藷からのぼる湯気に移るのですが、それが同時に「湯気ふたつ」とそれぞれにフォーカスが当たるように組まれています。ですから、一つの湯気は自分に、もう一つの湯気は人に与えることになるだろう、と。その人は、作者にとって大切な人なのにちがいない、と。どんどん想いがふくらみます。一句が人の心をあたためてくれる、その典型です。

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