ものを書くときの四つの要素、「いつ」「どこで」「何が」「どうした」のうち、「どこで」を書かない方が俳句は成功しやすいと、鈴木六林男師から教わりました。「いつ」というのは季語が担うのだということも。さらに、「いつ」さえも書かないで、「何が」「どうした」という二つの要素だけで書くのが無季俳句だと。だから難しいのだとも。その教えからすると、紀音夫さんのこの句は、無季俳句の極みにあります。登場するのは、木琴と日だけです。古びた木琴に日が射してきて、日光がまるで木琴をたたいているように、かすかな音が聞こえてきます。なんという高度な書き方でしょう。
*広島県府中市の府中学園の教室。
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