2017年1月28日土曜日

「大寒」15句 岡田耕治

大寒  岡田耕治

大寒を真っ正面に挑みけり
春隣四十九対五十一
海に沿う道を失い雪の花
風花の窓一面に香りけり
形象を宿していたり細雪
雪片が先に先にと着いてくる
牛の子の息白くして暴れ出す
まなざしを遠くへ送る雪の声
訪問の家庭を想い雪を踏む
大寒の学校中を開きけり
ベニヤ板滲みはじめし深雪窓
春を待つウォーターマンの万年筆
すれすれに追い越してゆく冬の蝶
冬の春胃を右下に横たわり
こんなにも早く忘れる雪吹かな


*大阪市「一心寺」の仁王像。

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