石井 冴
綿虫や周りの音を消していく
綿虫の浮いては沈む瞳かな
綿虫やうちには連れて帰れぬと
綿虫の浮くにも力要るらしく
谷川すみれ
鳥帰るひとつの大きな鳥となり
白梅の無音の空を切なくす
春炬燵二人になれば火を消して
言霊の深きまでゆく春の風邪
立花カズ子(1月)
年詰まる吾そっくりの遺影かな
猛吹雪ひと呼吸置き突っ走る
ボール蹴る声のひびきて空っ風
癌治療話す知人の冬の月
立花カズ子(2月)
女子走者梅の香りをまとい来る
朝から春の日差しが部屋に射す
物置の埃にまみれ遍路杖
方丈へ梅の香りを満たしけり
*豊中市ステップホール。リビングライブラリーには40名の参加者。
0 件のコメント:
コメントを投稿